2巻のバルジャンとコゼットの関係
・出会い
バルジャンはそれがコゼットとは知らずに、森の中で桶を運んでいる少女に手を貸します(2-3-7)。ミュージカルでも、手助けしてから名前を聞いていますね。
そして母がないことや名前や住んでいる場所を聞いて確信して、テナルディエの宿屋に泊まると決めました。コゼットは彼を怖がりませんでした(2-3-5)。
原作小説だとミュージカルより長くテナルディエの宿屋に滞在しており、一晩過ごしてから旅立ちます。
・コゼットの人形
バルジャンがコゼットを迎えに来た時、モンフェルメイユの村にはパリから来た香具師が大通りに小屋掛していて、行商人たちも来ています(2-3-1)。その屋台の最後の一軒であり、テナルディエ家の戸口の前にあった玩具屋に、2フィート近い美しい大きな人形が置かれていました。とても綺麗ですがとても高価で、村の誰も買えません。コゼットは水汲みに行く前にその人形に見惚れているのをテナルディエ夫人に見つかって、逃げるように水汲みに行きました(2-3-4)。
その夜、バルジャンの見ている前で、人形を持っていないコゼットはエポニーヌの人形でこっそり遊んだことを咎められて泣き出してしまいます。それを見たバルジャンは一旦宿屋を出て、まさにその人形を買ってきてコゼットに渡しました。
バルジャンはおそらくコゼットが見とれていたことまではは知らないのですが、大きくて目についたからかその人形を買ったようです。
原作ではコゼットとバルジャンはコゼットが大きくなるまで修道院に隠れ住むのですが、逃げ込むに際して前の家に置いてきてしまったその人形だけは惜しく思っています(2-8-9)。
・コゼットの服
旧演出だと同じくそうだったような話を聞いたのですが、原作小説でのリトルコゼットの服は黒ずくめ(喪服)です(2-3-9)。
蛇足ですが、コゼットが母の死を知るのは原作ではバルジャンの口からではなく、テナルディエ夫人が「母親に手紙を書いても半年も返事がない、きっと死んだのだ」というのを聞いて知ります(2-3-8)。
バルジャンは修道院に逃げ込んだ際、寄宿生になって制服を着るようになったコゼットの着ていた喪服を返してもらいます。樟脳や芳香剤をたくさんつけて、スーツケースにしまい込んで、鍵は肌身離さず身に着けます(2-8-9)。
少し話が先走りますが、このスーツケースを、彼はコゼットに中身を内緒にしたまま、亡くなるまで大切にしました。
・バルジャンのコゼットへの感情
バルジャンはコゼットを隠れ家に連れ帰った後、「親切と愛情の色が現れてほとんど狂気じみて」いる目で、歩き疲れて眠っているコゼットを見守ります。そうしながら、母親ファンティーヌにしたのと同じように手に口付けて、「同じ悲しい、敬虔な、しみじみとした感情」を抱きます(2-4-2)。
バルジャンはそれまで何も誰も愛したことはなかったと自覚し、「父親にも、恋人にも、夫にも、友人にもなったことがなかった」と振り返ります。そんな彼の「内部にあった情熱と愛情の全てがコゼットに駆け寄」り、「一生の愛の全てが、一種いうに言われないほのかな光の中に溶け込みます。司教様は彼の地平線に徳の曙をもたらしましたが、コゼットは愛の曙をもたらした、彼はコゼットへの愛情によって徳の道に戻った、とユゴー先生は描写しています(2-4-3)。
モンフェルメイユを離れてから修道院に逃げ込むまでの数ヶ月は、バルジャンがコゼットに読み書きを教えます。悪事のために獄中で学んだそれが今良いことに役立っていることに、彼は感慨を覚えます(2-4-3)。
また、「コゼットは醜くなるだろうと考えて、一種の喜びを感じ」もします。これは彼だけの考えではなく、逃げ込んだ先の修道院でも院長はそう考え、良い修道女の素質と喜んでコゼットを気に入りました(2-4-3)。
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